スウェーデン切手を集めよう |
1.スウェーデン郵便のながれ
スウェーデン切手を知るにはまず、スウェーデンの郵便の流れを知っておくのが良いでしょう。
下の図1をみていただきますと、日本は1871年に郵便の開始、切手の発行、消印の開始という
切手収集にとっての大きな3要素が同じに始まっています。しかし、スウェーデンは最初1636年
という日本では江戸初期にあたる年に郵便が始まり、消印が現れたのは約50年後の1686年、
さらに切手が発行されたのは郵便が始まって220年もたった1855年でした。したがって、スウェーデン
では郵便、消印、切手はバラバラに現れ、日本と事情が違うことを理解する必要があります。
ここでは1855年から現れた切手に焦点を当てて、切手と切り離せない、1855年以降の郵便と消印について解説します。
スウェーデン 1636郵便開始 1683消印 1855切手発行 1920年(政府印刷) ▽ ▽ ▽ ▼ 現在 ――――――――――――――――――――――――――――― 日本 1871郵便開始、切手発行 ▽ 消印 ―――――――――――――― 図1 スウェーデンと日本の郵便、切手の流れ。 線は時間の流れを表します。 |
2.スウェーデン切手のながれ
スウェーデン切手の製造の流れの中で大きな転機は1920年にあります。それまでは民間の印刷会社で
切手を刷っていたのですが、1次大戦が終了し、郵便の需要が飛躍的に増大し、印刷が間に合わなくなったため、
スウェーデン政府自ら印刷するように変更したことです。この時スウェーデンの郵政大臣がアメリカ視察し、
切手印刷で実績のあったスチックニー印刷機を購入し、コイルと切手帳という特殊な切手の発行形態がとられました。
この形が今日まで続き、世界でもスウェーデンのみの発行形態が実現しました。
図1で示した▼印が切手発行形態から見た大きなターニングポイントになっています。
したがって、▼印の前後では切手はシートかコイル・切手帳かという収集時の着目点の違いが挙げられます。
3.スウェーデン切手の特徴
1920年に政府印刷になってからスウェーデンはほとんどが凹版という、お札と同じ印刷方式を採用しています。
これは切手と同じ大きさに金属版に金属の針で罫いて原版を作ります。精緻な作業で、
1回でも線の罫書を失敗すると全部がだめになってしまいます。
スウェーデンにはこの凹版の彫刻ができる人を優遇しており、切手の下の部分にデザイナーと切手の彫刻者の
名前を見つけることが出来ます。中でも国王の顔を彫れる王室彫刻家は現在ツェズロウ・スラニアと言う方で多くの
スウェーデン切手や他の国の切手を彫刻しており、世界にもファンが多くいます。
2000年には彼の1000番目の彫刻した切手が発行されました。
(切手の右下部分の拡大)
図2 スラニア1000番目の切手 右下にスラニアの文字
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